投資経営ビザ申請手続き

外国人の起業、会社設立では投資経営ビザ取得が重要です

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1.「投資・経営」の該当範囲


 「投資・経営」とは、日本において貿易その他の事業の経営を開始し、もしくは日本でのこれらの事業に投資してその経営を行い、もしくはその事業の管理に従事し、または、日本でこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む)もしくは日本でのこれらの事業に投資している外国人に代わってその経営を行い、もしくはその事業の管理に従事する活動をいいます。ただし、「法律・会計業務」で必要とされる資格を要する活動は除きます。
  1. 日本での事業の経営を開始してその事業を経営する者
  2. 1に該当する外国人が経営する事業の管理に従事する者
  3. 日本の事業に投資して、その事業を経営する者
  4. 3に該当する外国人が経営する事業の管理に従事する者
  5. 日本で事業の経営を開始した外国人に代わって、その事業を経営する者
  6. 5に該当する外国人が経営する事業または日本で事業の経営を開始した外国人に代わって、日本人が経営する事業の管理に従事する者
  7. 日本の事業に投資している外国人に代わってその事業を経営する者
  8. 7に該当する外国人が経営する事業または日本の事業に投資している外国人に代わって日本人が経営する事業の管理に従事する者

 1〜7などの活動が該当し、具体的には、社長、取締役、監査役、部長、工場長、支店長などで、事業の経営または管理に関する業務を実質的に行う活動が、「投資・経営」となります。ただし、ここでは外国人の起業に焦点を置いているため、主に「事業経営を開始して、経営に従事する者」について解説し、「投資・経営」のその他の事項については省略します。

2.「投資・経営」の許可基準


「投資・経営」の許可基準には次のようなものがあります。

@ 申請人が本邦において貿易その他の事業の経営を開始しようとする場合
ア 当該事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されていること。
イ 当該事業がその経営又は管理に従事する者以外に2人以上の本邦に居住する者(法別表第1の上覧の在留資格をもって在留する者を除く)で常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること。

A 申請人が本邦において貿易その他の事業の管理に従事しようとする場合
ア 事業の経営又は管理について3年以上の経験があること。
イ さらに、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

 一般的には、外国人が自ら出資し起業するケースが多く、その場合には@ア、イの項目が該当し、それを満たしていることが許可の基準となります。

 まず、@ア「当該事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されていること」とは、本邦において事業所(事務所・店舗・営業所も同じ)が確保され、独立性を持ち、安定・継続的に事業を行えることが求められています。実務では、事業所は賃貸であるケースが一般的ですが、その際には注意すべき点があります。それは当該物件に係る賃貸借契約書において、その使用目的・契約名義人がどのようになっているのかということです。使用目的は、「事業用」、「店舗用」、「事務所用」等事業目的であることを明らかにし、契約者についても法人の名義とし、当該法人による使用であることを明確にすることが必要です。

 次に、@イ「当該事業がその経営又は管理に従事する者以外に2人以上の本邦に居住するもの(法別表第1の上覧の在留資格をもって在留する者を除く)で常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること」とは、2人以上の安定的な正規従業員を雇用できるくらいの投資額を外国人社長が設立した会社に投資していることを示しています。

 この「2人以上の本邦に居住する者(法別表第1の上覧の在留資格をもって在留する者を除く)」とは、日本人、「日本人の配偶者等」、「定住者」、「永住者」、「永住者の配偶者等」(以下、日本人等という。)のことを指しています。この場合、仮に2名の常勤の職員を雇用していない場合にはどの程度の規模が該当するのか疑問が生じることとなりますが、入国管理局においてはそのガイドラインを「新規事業を開始しようとする場合の投資額が年間500万円以上」としています。そのため、500万円以上の資本金の会社を設立するか、次の@〜Bについて投資されている額が500万円以上であり、かつ、500万円以上の投資額が継続して営まれる場合において、常勤の職員が従事して営まれる規模のものとして適合するとして正規従業員を雇用しなくても、在留資格の取得要件を満たすことになります。

@ 事業所の確保

当該事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費

A 雇用する職員の給与等
常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
B その他

事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費


  このように、資本金を出資した外国人が事業を立ち上げ経営していく場合においての「投資・経営」の在留資格取得は、2人以上の常勤の職員(日本人等)を雇用するか、500万円以上の投資をすることが基準となっています。なお、この500万円以上の投資額は毎年500万円の投資を行うことが必要である訳ではなく、一度投資された500万円以上の投資が、その後も回収されることなく維持されていれば問題ありません。

3.「投資・経営」の注意点

(1)複数人による共同出資、共同経営の場合

 中には、ご友人・知人、または親族等とご一緒に共同して出資を行って会社を設立し、共同で経営を行っていきたいと考えている方がいらっしゃるかもしれません。その場合にはいくつかの注意が必要です。「投資・経営」の該当範囲では、具体的に、社長・取締役・監査役・部長・工場長・支店長などの事業の経営または管理に関する業務を実質的に行う活動が該当します。ところが、例えば、外国人起業家である社長が「投資・経営」の在留資格を取得された場合に、他の取締役等は「投資・経営」の在留資格を取得することが困難になります。それは事業規模に関連するためです。一般的に中小規模の企業では、一企業について「投資・経営」の取得は1名までしか認められていないケースが多く、経営・管理に係る業務の充分性・必要性に疑義を持たれることが大きな要因であると考えられます。

 また、資本金を出資した外国人が事業を立ち上げ経営していく場合においての「投資・経営」の在留資格取得は、あくまでも500万円以上の投資を行った外国人が事業を立ち上げ経営していくことを予定しており、500万円を共同出資者と分割したことによって「投資・経営」を取得する外国人の出資金が500万円下回るような場合や、出資比率によって社長以上の大株主がいる、もしくは他の出資者の議決権の合計が社長の議決権を上回るような場合には、社長の地位が安定的・継続的でない、実質的な経営業務を行うことができないと判断されて在留資格取得が許可される可能性が低くなっります。

(2)業種

 業種については、日本において適法に行われる業務であれば、飲食店、風俗営業店、中華料理店、中古自動車販売等に関わらず制限はありません。ただし、整体やマッサージなどの一部の業種については確認をした方がよいでしょう。  

(3)安定性・継続性

 企業の安定性・継続性とは、単に資本金の大小のみではなく、営業活動により得られる売上高、利益、従業員数等から総合的に判断されるものであり、営業種別、同品目、決算内容(見込み)等総合的に判断することが必要です。  

(4)事業所の確保について

 一般に外国人が日本において投資を行って事業を起こす場合、その活動は「投資・経営」の在留資格に該当することとなり、入管法の基準として「当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「当該事業を営むための事業所が本邦に存在すること」と定められています。ベンチャー企業などは、設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営が可能であること等から、住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合等がありますが、この「事業所の確保(存在)」の認定については会社法上の制約ではありませんが、在留資格の審査を視野に入れると本店の所在場所は、実質面を考慮しなければなりません。

 例えば、日本人が自宅兼事業所として起業した場合、代表取締役の住所と本店の所在地が全く一緒となっていることは珍しくなく、自宅を本店所在地として登記していることは多くあります。しかしながら、在留資格「投資・経営」のガイドラインを要約すると、事業所は賃貸契約で構わないが、居住用は認められないとされており、また、自宅兼用事務所は事業所として表札を掲示できるかどうか、居住スペースと事務所スペースとの区分けがしっかりとなされているかどうかによるものとされています。すなわち、会社法とは異なる観点で、事務所としての実体があるかどうかを立証する必要がありますので、外国人が起業するという観点で事業所の確保については特に留意する必要があります。

・経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
・財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。

 総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項によれば以上の2点を満たしている場合には、基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められます。

●マンスリーマンションや移動式店舗の可否

「投資・経営」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから、3か月以内の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には,基準省令の要件に適合しているとは認められません。このため、マンスリーマンションや移動式店舗などもそれだけでは難しいといえます。

●住居を事業所とすることの可否

 事業所は、賃貸物件が一般的でありますが、注意すべきは、物件に係る賃貸借契約においてその使用目的を事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにする必要があることです。また、賃貸借契約者についても法人等の名義とし、法人等による使用であることを明確にすることが必要です。

 ただし、住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合、住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき,貸主が同意していること。)、借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること、当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること、当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とします。

●インキュベーションオフィスの可否

 インキュベーターとは、経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織をいいます。特に外国人が日本で起業をする際に、支援者がいることは心強く、インキュベーターを利用するケースも多いようです。

 インキュベーターが支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱われます。  

(5)出資について

 現在の会社法によると、設立時の出資額規制は設けられておらず、資本金1円でも株式会社の設立が可能です。最低資本金の制度が撤廃されたため、単に財産の価額または最低額を定めれば良いことになりますが、外国人が出資する場合には注意が必要となります。

 在留資格「投資・経営」に関しては、常勤従業員2名を雇用する規模であること、具体的には、実質的な経営権を有しており、常勤従業員2名の雇用又は500万円以上の投資が必要となります。すなわち、在留資格「投資・経営」が認められやすい価額、又は最低額とは、具体的には500万円を資本金として会社に出資される財産の価額または最低額として定めることになります。

4.「投資・経営」のガイドライン


 平成17年8月には入国管理局が「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」を公表し、「事業所の確保」と「事業の継続性」についてのガイドラインを示しています。

法務省入国管理局
平成17年8月
外国人経営者の在留資格基準の明確化について

  外国人が我が国において投資を行って事業を起こし,又は既存の事業に投資してその経営又は管理に従事する場合,その活動は「投資・経営」の在留資格に該当することとなるが,同在留資格については,出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「基準省令」という。)の定める基準として「当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「当該事業を営むための事業所が本邦に存在すること」が定められているところ,ベンチャー企業などとして興された企業については,設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営が可能であること等から,住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合等がある。また,在留期間の更新許可申請等において,当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点から,赤字決算等が疑問を生ぜしめる場合があり得る反面,通常の企業活動の中でも,諸般の事情により赤字決算となっていても,在留活動の継続性に支障はない場合も想定される。
従来,この「事業所の確保(存在)」及び「事業の継続性」の認定をするに当たって,その基準が不透明であるとの指摘があったことから,以下のとおりガイドラインを示すこととした。

1.事業所の確保について
総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において,事業所については次のように定義されている。
・経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
・財貨及びサービスの生産又は提供が,人及び設備を有して,継続的に行われていること。

以上の二点を満たしている場合には,基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められるところ、「投資・経営」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから,3か月以内の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には,基準省令の要件に適合しているとは認められない。
事業所については,賃貸物件が一般的であるところ,当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的を事業用,店舗,事務所等事業目的であることを明らかにし,賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし,当該法人等による使用であることを明確にすることが必要である。ただし,住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には,住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき,貸主が同意していること。),借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること,当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること,当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とする。
なお,インキュベーター(経営アドバイス,企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で,申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは,(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって,起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって,基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととする。

(参考)
「住居」を事業所として「投資・経営」の在留資格に係る入国・在留申請の許否に係る事例については,以下のとおりである。
事例1
Aは,本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更申請を行ったが,事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの,貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており,事業所が確保されていると認められたもの。

事例2
Bは,本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ,本店が役員自宅である一方,支社として商工会所有の物件を賃借していたことから,事業所が確保されていると認められたもの。

事例3
Cは,本邦において株式会社を設立し,販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,会社事務所と住居部分の入り口は別となっており,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されていた。また,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され,事業所が確保されていると認められたもの。

事例4
Dは,本邦において有限会社を設立し,当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが,事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ,郵便受け,玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく,室内においても,事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず,従業員の給与簿・出勤簿も存在せず,室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事例5
Eは,本邦において有限会社を設立し,総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,提出された資料から事業所が住居であると思われ,調査したところ,2階建てアパートで郵便受け,玄関には社名を表す標識等はなかったもの。また,居宅内も事務機器等は設置されておらず,家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから,事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事例6
Fは,本邦において有限会社を設立し,設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが,提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと,当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから,事業所が確保されているとは認められなかったもの。

2.事業の継続性について
事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ,当該事業の継続性については,今後の事業活動を適正に行うことが可能であることの証明が必要になる。しかし,単年度の決算状況を重視するのではなく,貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから,直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととする。

(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a 近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合

直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には,事業の継続性に問題はない。また,直近期において当期純損失となったとしても,剰余金が減少したのみで欠損金とまでならないものであれば,当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから,この場合においても事業の継続性があると認められる。
したがって,直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には,事業の継続性があると認められる。

b 直近期末において欠損金がある場合
(ア)直近期末において債務超過となっていない場合
事業計画,資金調達等の状況により,将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し,今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし,事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて,原則として事業の継続性があると認める。ただし,当該資料の内容によっては,中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出をさらに求める場合もある。
(イ)直近期末において債務超過であるが,直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過となった場合,一般的には企業としての信用力が低下し,事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから,事業の継続性を認め難いものであるが,債務超過が1年以上継続していない場合に限り,1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとする。
具体的には,直近期末において債務超過であるが,直近期前期末では債務超過となっていない場合には,中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が,改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし,当該書面を参考として事業の継続性を判断することとする。
(ウ)直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合
債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは,事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから,事業の継続性があるとは認められない。

(2)直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合
企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは,通常の企業活動を行っているものとは認められず,仮に営業外損益,特別損益により利益を確保したとしても,それが本来の業務から生じているものではない。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ,二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められない。したがって,この場合には事業の継続性があるとは認められない。

※上記において主な用語の説明については以下のとおり
直近期:直近の決算が確定している期
直近期前期:直近期の一期前の期
売上総利益(損失):純売上高から売上原価を控除した金額
剰余金:法定準備金を含むすべての資本剰余金及び利益剰余金
欠損金:期末未処理損失,繰越損失
債務超過:負債(債務)が資産(財産)を上回った状態
(貸借対照表上の「負債の部」の合計が同表の「資産の部」の合計を上回った状態のこと)

(参考)
直近期決算で当期純損失のあった「投資・経営」の在留資格に係る入国・在留申請の許否に係る事例については,以下のとおりである。

事例1
当該企業の直近期決算書によると,当期損失が発生しているものの,債務超過とはなっていない。また同社については第1期の決算である事情にもかんがみ,当該事業の継続性があると認められたもの。
参考指標(売上高総利益率:約60%,売上高営業利益率:約−65%,自己資本比率:約30%)

事例2
当該企業の直近期決算書によると,売上総損失(売上高−売上原価)が発生していること,当期損益は赤字で欠損金もあり,また,欠損金の額は資本金の約2倍が発生していることから,当該事業の継続性を認められなかったもの。

参考指標(売上高総利益率:約−30%,売上高営業利益率:−1,000%超,自己資本比率:約−100%)

※各種計算の手法は提出された直近期の決算書をもとに以下のとおり算出
(利益はプラス,損失はマイナス。)。

売上高総利益率=売上総利益(損失)÷純売上高×100
売上高営業利益率=営業利益(損失)÷純売上高×100
自己資本比率=自己資本(剰余金又は欠損金を含む)÷総資本×100

5.事業計画の作成


 本来、ビジネスプランは事業の方向性を明確にするために作成するものですが、入国管理局における在留資格の手続きにおいても非常に重要な資料となります。というのは、在留資格「投資・経営」の審査基準の一つに「事業の安定・継続性」が求められており、新規で事業を立ち上げる場合には、それを立証していくのがビジネスプラン、すなわち事業計画書となるからです。

 事業計画書には決まった書き方やフォームなどはありませんが、ここで作成するのは資金の借り入れのための金融機関向けのものではなく、入国管理局への提出資料であると共に、ビジネスパートナーや顧客への説明資料として使用するためのものです。

 入国管理局は外国人経営者が開始する事業の安定性・継続性については、単に資本金の大小のみではなく、営業活動により得られる売上高、利益、従業員数、営業種目、同品目、決算内容(見込み)等から総合的に判断するとされています。当然、事業計画書作成の目標は、入国管理局へ事業の安定性や継続性をアピールすることにあります。

@現状の把握

 まずは自分のビジネスを取りまく現状を把握する必要があります。その際には以下の5つのポイントに分類しながら考えをまとめてみると明確になるでしょう。その際には、自分の強みと弱みをチェックしながら作業を進めると、より具体的なイメージがわきやすくなります。

@同業種でのライバル
・サービス提供地域でのライバル数
・ライバルの売上と利益
・ライバルの戦略・特徴
A新規参入者

・新規参入者の有無

・参入障壁の有無
B代替製品の有無

・代替製品(サービス)の有無

・技術革新の同行
C顧客の交渉力

・顧客の購買行動の変化

・流通チャネルの変化
D供給者の競争力

・技術革新

・新技術(新サービス)の動向

 現状分析の結果、同じ地域にライバル店があることがわかれば、それに対する戦略を考えることになります。例えば、飲食店で資本集約型のフランチャイズ店がライバルとしてあるのなら、こちらは「味に徹底的にこだわり小さくても地域で美味しいと評判の店になる」という方針を立てることができます。

 自社と競合他社の分析を通じて、その優劣を明らかにすることができるので、これもビジネスプランの重要な要素となります。最終的には事業計画書でも説明することになるため、できれば調査結果を表などにまとめておくことをお勧めします。

Aゴールの明確化

 これから事業を始めようとするのであれば、ビジネスの目指すべき完成形は漠然と頭の中に浮かんでいることと思います。現状を把握するために収集した情報をもとに、最終的なゴールとなるビジネスを具体的な書面におとしこむ作業が必要となります。まずは頭の中に浮かぶアイディアをすべて書き写し、最終的に取捨選択することにより現実的なゴールを描きだし、下記のような表にまとめましょう。

例:飲食店の場合

事業名
飲食店(インド料理)
顧客
地域住民(家族連れ)
ランチタイムのOL・サラリーマン
仕事帰りのサラリーマン
価値
日々の仕事で夕食を作ることが難しい単身者が低価格で気軽に立ち寄れるお店。
ランチタイムには低価格で本格的なインド料理を楽しめる。 週末には家族がゆっくりと食事を楽しめ、家族団らんを楽しめる。
提供方法
チラシ・インターネットで告知し、期間限定割引券などを提供 インドの民族音楽を店内にかけ、雰囲気もエキゾッチクに仕上げ、料理だけでなくインド独特の銘酒を提供
強み
弊社オリジナルのメニュー 
家族向けサービスメニューの充実
単身者向けの低価格帯セットメニュー
地域密着型でリピーターを確保

B事業戦略の構築

 ここではビジネスの理想と現実の間を埋めるための、事業戦略を構築します。戦略と言っても難しくとらえる必要はなく、目標を実現させるための具体的な行動を考えていけばよいでしょう。

 例えば、飲食店で最終的なゴールが「地元家族連れが毎週来店するような料理店」であれば、「地域への営業や宣伝効果が必要」⇒何世帯への宣伝が必要?⇒200世帯のリストが必要、というように具体的な行動内容を明確にしていきます。ただし、立ち上げたばかりの会社では人員も少なく、投入できる資源には限りがあるため、当面は役員が様々な業務を兼任することにより、少数の人員でも実現可能な戦略を具体化しましょう。また、後の事業計画を作成しやすいように、同時にその戦略実行にかかる費用も見積もり、メモしておくことをお勧めします。

例:飲食店の場合

 ここまでのプランが出来上がれば、この事業を始めるにあたりどれぐらいの費用がかかるのか、何をしなければならないのかが明確になります。さらには、そこからいくらの売上を確保しなければならないかが見えてくるでしょう。

Cビジネスモデルの確立

 ビジネスモデルとは、要は「どうやって収益を上げるか」という具体的なプロセスのことであり、誰に・何を・どこで・いつ・どうやってといった観点でまとめることにより、簡単に具体化しやすくなります。

ア 誰に提供するのか

⇒ 家族連れ及びランチタイム時のサラリーマン

 

イ 何を提供するのか
⇒ 家族連れにはファミリー向けコースメニュー
平日のランチタイムはサラリーマン向けのリーズナブルなセット
ウ どこで提供するのか
⇒ 店舗及び店頭にて

 

エ どんな手段で提供するのか
⇒ 店舗においては迅速に顧客のオーダーに対応する
店頭では持ち帰りができるよう、弁当を販売する
オ いつ提供するか
⇒ 営業時間を11:00〜23:00までにする

 

昼間(11:00〜14:00)は、ランチタイムとしてランチメニュー価格で提供
夕方(14:00〜16:00)は、ティータイムとして、お得なデザートセットで提供
夜間(17:00〜22:00)は、家族連れ及び仕事帰りのサラリーマンを対象としたセットメニュー

D単価の設定

 事業を維持するために必要となる毎月の費用、それにサービス提供方法から、サービスの単価を決定していきます。ここでは現実性があり実現可能な売上高を確保できるよう、顧客のニーズを把握しながら、事業計画の基本となる単価を決定しましょう。その際には、どの程度の売り上げが確保できるかをイメージし、客単価と利用頻度の2点に重点を置きながら設定すると次に行う年間での売上高も計算しやすくなります。

●顧客ニーズにあった商品・サービス (飲食店の場合)

顧客ニーズ:サービス重視

顧客ニーズ:価格重視

対象者:サラリーマン(法人顧客)
サービス:宴会や飲み会などの利用
セットメニューの準備
豊富な酒類の準備

対象者:主婦及び家族連れ
サービス:ランチでの利用
定価各設定
デザートが必要

客単価:2,500円×5人=12,500円
来店頻度:2回/月
年間売上高:300,000円

客単価:800円
来店頻度:2回/月
年間売上高:19,200円

E初年度の売り上げ目標の決定

 入国管理局の審査で求められる事業計画書では、初年度の売上計画と目標が非常に重要となります。ここでは、売上を構成する、案件数や数量と客単価に落とし込んで、売上数値を作りこんでいきます。まずは提供するサービスや商品ごとに分類し、それぞれの単価に客数と年間の利用頻度をかけることにより、サービスのごとの年間売上高を算出します。最後に個別の売上高を合計することにより、年間の売上目標を決定します。初年度の売上計画においては、計画の根拠をできるだけ詳細にしていくことによって、売上の精度を高めることができます。

例)飲食店の場合


サービスの分類

サービス単価

利用頻度

個別の年間売上目標

@ランチセット

800円

50食/日×25日×12カ月

12,000,000円

Aディナーセット

1500円

30食/日×25日×12カ月

13,500,000円

B宴会セット

2500円×5人

3コース/日×25日×12カ月

11,250,000円

初年度の売上高は、@+A+B=年間売上予想金額は36,750,000円となります。

 この算出金額をもとに、次年度、翌々年度の売上も上昇するように見込んでいくのですが、在留資格手続きにおいては次年度・翌々年度までの計画は求めていないので、初年度の売上まででも十分です。ただし、ビジネスパートナーや顧客に対しての事業の継続性を説明する場合においては、次年度・翌々年度の売上見込み額まで入れておいたほうがよいでしょう。

F収支計画書の作成

 これまでに作成した計画や算出した数字を元に、収支計画書を作成します。ここで気をつけなくてはならないのが人件費です。これは職種×月数×人数=人件費として算出するが、雇用するタイミングにより数字が異なることから、その月数を考慮して計算していきます。また、ここで作成する収支計画書はあくまでも入国管理局に対するものであるため、1円単位での詳細な計画を作成する必要はありません。くれぐれも現実離れしない数字を算出することが重要です。

項  目

初年度

次年度

翌年度

事業収支

売上高

36,750

46,750

56,750

売上原価

8,750

11,250

13,750

売上総利益

28,000

35,500

43,000

販管費

人件費

20,000

26,000

31,000

販売関係費

3,100

4,000

5,000

管理関係費

3,000

3,500

4,000

減価償却費

0

0

100

合計

26,100

33,500

40,100

営業利益

1,900

2,000

2,900

営業外収益

0

50

50

営業外費用

0

0

0

経常利益

1,900

2,050

2,950

特別利益

0

0

0

特別損益

0

0

0

税引前当期利益

1,900

2,050

2,950

法人税等

760

820

1,180

税引後利益

1,140

1,230

1,770

※ 法人税等は約40%で計算             (単位:千円)

6.「投資・経営」ビザの更新

@決算状況

「投資・経営」ビザにおいては、経営する企業の財務状況などがビザ更新に深くかかわります。2期連続しての債務超過や売上総利益が出せないような状況では、「投資・経営」ビザの更新が不許可となる可能性も出てきます。「投資・経営」ビザを取得したら、本業であるビジネスに集中し経営者としての結果を出せるように努力することが必要です。

A与えられる在留期間

 初めて「投資・経営」ビザを取得した際の在留期間は、多くのケースで「1年」となります。今まで「人文知識・国際業務」や「技術」ビザで「3年」を持っていた場合には、期間が短縮されて驚くこともあるようです。「3年」の在留期間が与えられるかどうかは、経営者の経歴、在留状況、会社規模、経営内容、それに投資状況などを総合的に考慮して決定されます。

B日本での滞在期間

 長期間にわたり経営者自身が海外に出国している場合には、「投資・経営」ビザの更新が不許可となる可能性があります。「投資・経営」ビザは日本で会社を経営するためのビザであり、長期間不在であれば「日本での経営は誰が行っているのか?」、「そもそも日本に滞在するためのビザは必要ないのでは?」といった疑問が生じるからです。例え業務であっても、数か月間にわたり日本を離れるような場合には、合理的な説明ができるように準備しておくことが大切です。

C経営者としての業務

 「投資・経営」ビザを取得した場合、日本での活動は当然に会社経営に専念することになります。しかし、レストランなどで経営者自らが調理を行う場合には「技能」ビザとの関わりがあり、「どこまでが経営者としての活動に該当するのか?」という問題が生じます。不安がある場合には、自らの業務が経営者としての活動に該当するかどうかを事前に確認すれば、ビザ更新時にも慌てずに済み余裕を持った申請ができます。
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