起業@JAPAN
外国人向け会社設立サービス

許可・認可の取得

1.経営管理ビザと許認可

 会社の税務・労務上の手続きが終了したら次は実際に会社を経営しなければなりません。しかし、ここで問題となるのが、業務を行う際に必要となる許認可の存在です。

 例えば、飲食店を行なうのであれば飲食業の許可、投資に関しての助言を行うのであれば金融商品取引業法に基づく「投資助言・代理業の登録」、というように様々な許可・認可・登録等(以下、許認可等という。)が存在します。

 許認可等の取得は、該当するビジネスを開始するにあたり、個別の法律で取得が義務付けられており、取得せずに業務を行った場合に違法行為として処罰の対象となることも考えられます。

 また、在留資格「経営管理」の審査基準には、「事業は適正に行なわれるものでかつ、安定性及び継続性の認められるものでなければならない。」とあります。そのため、“適正“という意味では、必要な場合には該当する許認可等は必ず取得しなければなりません。

 そのため、ビジネスプランを作成する段階から、どのようなビジネスに着手し許認可等が必要かどうかを詳細に確認し、事業として成り立つかどうかを十分に考慮する必要があります。

 考慮の結果、許認可の取得が必要ないと判断できれば、すぐにでも営業を開始し、外国人社長の在留資格取得のため、在留資格変更許可申請または在留資格認定証明書交付申請のための手続きに移行すべきです。

 一方、許認可の取得が必要と判断される場合には、その許認可を取得できなければ営業そのものができません。

 経営管理の在留資格については、入管法上要求されている条件を満たし、具体的なビジネスプランと共に許認可等の取得アクションを説明すれば、その時点では許認可等がなくても取得できる可能性はあります。

 しかし、その後に許認可が取得できないとなると、業務上の支障はもちろんのこと、他の業種へと急激な方向転換しなければならず、当初のビジネスプランそのものが成立しません。

 次年度の在留資格更新を考慮すれば、経営管理ビザの要件である“適正かつ、安定性及び継続性…”という部分に抵触し、外国人経営者の在留資格にも問題が生じる可能性があります。

 このような状況に陥らないためにも、業務開始前に許認可取得の可能性を検討することが非常に重要となります。

2.許認可の種類

1. 許可

 本来であれば自由に誰もが行える行為ですが、公共の安全や秩序を維持するために制限されている行為があります。例えば以下のようなものです。

医師免許 日本では手術などの医療行為ができるは、資格をもつ医者だけです。
風俗営業許可 犯罪などに発展しやすい風俗業を営めるのは、警察から許可された人だけです。

 このように一般的には制限されている行為を、特定の場合に解除する事を許可といいます。

 許可では官公署に裁量権が与えられているため、仮に基準などに適合していたとしても不許可となる可能性があります。そのため、許可が必要となるビジネスを行う場合には、事前に調査を行い許可取得の可能性を十分に考慮すべきです。


2.認可

 ある行為に対して官公署が基準を設けた場合、その基準に合致していることを認めることを認可といいます。

 本来であれば問題がない行為であっても、特定の者が一定以上の行為を行うと問題が生じるような場合、その行為を抑制するためなどに利用されます。

 許可と違い、必要な基準などを満たしていれば、官公署は認可を与えることを拒むことができません。つまり、基準を満たした適正な申請が行われれば必ず取得することができます。


3.登録

 官公署が備えている帳簿などに一定の情報が記載されることにより、効力が発生することを登録といいます。ただし、登録するためには一定の基準が設けられていることが多く、許可や認可のようにハードルが高いものも存在します。

旅行業の登録 報酬を得て旅行業務を営むには、国土交通大臣や都道府県知事の登録が必要です。
建築士事務所の登録 建築士事務所を開業する場合には、都道府県知事の登録が必要です。

4.届出

 官公署に対して一定の事項を通知することを指し、到達した時点で効力が発生します。

 官公署の確認などは関係ないため、許認可の中では最も簡単な内容といえます。許可や認可を取得した後、変更事項などを官公署に知らせるために利用されるケースが大半を占めます。

クリーニング所開設届 クリーニング店を営む場合には、保険所への届け出が必要です。

3.許認可が必要な業種

1.飲食店

 レストランやカフェなどの飲食店を始める場合には、お店を管轄する保健所の許可が必要となります。

 「調理場に手洗いが備え付けられているか?」、「シンクは2槽以上あるか?」、「給湯設備はあるか?」といった主に内装に関する基準が設けられています。

 店を借りた際に内装業者などに依頼すれば、保健所の許可が取れるように設計してくれるはずです。ただし、以前レストランだった物件を居抜きで借りた場合には、注意が必要です。

 以前のオーナーが許可を取っていたからといって、必ずしも今回も取れるとは限りません。保健所の検査後に勝手に増改築を行っている可能性もあるからです。

 店舗を借りる際には許可基準を満たしているかを確認してください。 


2.古物商

 中古品などを売買する際には、扱う商品の中に盗品などが含まれる可能性があります。そのため中古車販売、中古ブランド品・貴金属・美術品の売買、アンティーク家具の売買などを行う場合には、一般的には管轄する警察で古物商許可を取得する必要があります。

 これはホームページ上で売買を行う場合も同様で、警察への届け出が必要となります。

 このように対面せずに古物を売買する場合には、相手方の確認方法なども定められているため、不安を感じるようであれば最寄りの警察署で相談されることをお勧めします。


3.旅行業

 中国からの短期ビザの許可要件が緩和されたこともあり、日本での旅行業に興味示す起業家が増えています。

 取り扱う旅行商品により第1~3種までと代理業に分かれており、それぞれに基準が設けられています。

 また、航空機や鉄道などのチケット販売だけを行う金券ショップのような場合でも、ケースによっては旅行業の許可が必要な場合があります。このようなビジネスを行う場合には、事前に確認をとったほうが良いでしょう。


4.人材派遣

 人材派遣、人材紹介などを行う場合には、許可や届出などが必要となります。特に人材派遣では許可を取得するだけではなく、実務を行うに当たり労働法全般の知識が要求されることが多々あるため、社会保険労務士などの専門家に顧問を依頼したほうが良いでしょう。

 最近では外国人を専門に扱う人材派遣会社なども増えてきていますが、この場合には入管法と労働法などの知識が要求されます。さらに頻繁に行われる法改正などに対応するためにも、社会保険労務士、行政書士などの専門家のアドバイスは欠かせません。


5.運送業

 バスやタクシーに乗客を乗せる場合にはもちろんですが、トラックなどで貨物を運送する場合にも一般的には運送業の許可が必要となります。

 見落とされがちなのは自動車スクラップなどの収集・運搬などをトラックを使って行う場合で、ケースによっては産業廃棄物収集運搬の許可が必要なこともあります。

 鉄くずなどの輸出などを行う場合には、事前にビジネスモデルを明確にして、官公署などに確認をとっておいたほうが良いでしょう。

4.主な許認可の届出窓口

保健所 食品類製造業、食品処理業、乳類販売業、食肉販売業、魚介類販売業、飲食店、喫茶店、美容業、理容業、クリーニング業、旅館業、公衆浴場、興行業、診療所(法人)、薬局、医薬品販売業、薬種商販売業、毒物・薬物販売業、施術所(マッサージ、指圧など)、歯科技工所、管理医療機器販売・賃貸業、コインランドリー業、コインシャワー業
警察署 リサイクルショップ、古本屋、古物商、質屋、警備業、スナック、キャバレー、 パチンコ、マージャン、ゲームセンター、自動車運転代行業
税務署 酒類販売業
東京都庁
環境局 産業廃棄物処理業、一般廃棄物処理業、電気工事業、 火薬類取扱業

福祉保健局 介護保険業、医薬品等製造販売業、化粧品製造販売業、医療機器製造業・販売業、毒物・薬物製造輪入業、有料老人ホーム

産業労働局 旅行業(第2種・第3種・代理業)、通訳案内業、動物病院、 動物取扱業

都市整備局 宅地建物取引業、建設業

生活文化
スポーツ局

専修学校、各種学校、NPO法人
東京労働局 (需給調整事業課) 有料・無料職業紹介業、一般・特定労働者派遣業
東京運輸支局 貨物運送業、旅客運送業、自動車整備業、旅行業第1種

 ※東京都23区外で開業する場合は、窓口が異なる場合があります。

5.外国人経営者が許認可を取得するタイミング

 外国人が日本での許認可を取得するにあたり、実務上では様々な問題が生じることがあります。

 例えば、許認可の取得要件として一定の資格保持者が求められるケースであり、具体的には不動産業や金融商品取引業などが該当します。

 外国人経営者が資格を取得していれば別ですが、多くのケースでは許認可取得のために専門知識を持った従業員を雇用しなければなりません。そのための採用に係る費用、毎月の給与等がビジネスプランに影響を与えるのはもちろんですが、当該従業員が突然に辞職した場合、事業そのものが継続可能かどうかも大きな問題となります。

 また、外国人経営者が一定の在留資格を所持していることが、許認可取得の要件となるケースもあります。

 例えば古物商の許可では、経営者が外国人の場合、「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「経営管理」であれば許可を取得することができますが、これら以外の在留資格の場合では、資格外活動の許可を得なければ許認可等を取得できません。

 このような場合には、まず「経営管理」の在留資格を取得し、その後に古物商の許可を申請してから営業の開始とするのがよいでしょう。

 古物商以外の許認可では、外国人経営者の取扱が個別に異なるため、申請前に許認可庁によく確認をすべきです。

 例えば、飲食店の営業許可の場合には、現状では外国人経営者の在留資格が就労できない「短期滞在」であっても許可の取得は原則として可能です。入管法に抵触するかどうかという問題は別として、このように、許認可等の取得における外国人経営者の取り扱いは許認可庁により全く異なります。

 また、社会情勢などを反映して頻繁に基準が改正されるケースもあるので、許認可庁へはこまめに足を運び常に最新の情報を入手すべきです。

 許認可等の取得が必要な場合には、可能であれば許認可を取得してから在留資格の手続きへと移行したほうがよいでしょう。許認可等を取得した状態で在留資格手続きを行えば、事業の実態や継続性という意味でも真実味が増し、入国管理局での審査がスムーズに進む可能性が高まると思われます。

 また、企業経営においても安定性が増すためよりスピーディーなビジネス展開が可能となり、結果として売上の増加、利益率の向上にもつながり、次年度の在留資格更新の際にも有利に働きます。

Googleの口コミに頂いたお客様の声

無料相談・お問い合わせはお気軽に!(全国対応)

1986年の開業以来、日本でビジネスを始める外国籍の方へ会社設立+経理管理ビザ取得のサポートを40年近く行っており実績も豊富にございます。

電話相談、メール相談、オンライン相談、ご来社での相談が可能です。また、英語対応も可能です。