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定款の作成

1.定款とは

 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならないとされています。

 定款とは、会社の組織や運営に関する基本的なルール、つまり会社における憲法のようなものです。会社を設立するには、必ずこの定款を作成しなければなりません。

 定款を見れば、「会社の事業内容」や「創始者が誰か」といった会社の根本にかかわることがわかります。

 定款では、商号や目的など必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項という)が法律で決められています。会社設立時には発起人全員で定款を作成し、発起人全員が定款に署名(または記名)押印します。

 また、株式会社設立時の定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。

 定款の認証とは、定款への署名押印または記名押印が発起人のものであることを公証人の面前で認め、公証人がその旨を記載すること、つまり、発起人による定款作成行為が正しく成立したことを証明することです。

 この認証は、公証人が事務をする公証人役場で取り扱っており、認証が無事終われば、公証人は定款の末尾に定款を認証したことの証明文を添付します。

 このように定款はむやみに変更できるものではありません。変更する場合は厳格な手続きが必要です。

 一旦作成されれば、定款に拘束されますので慎重に検討して作成してください。

2.定款作成の流れ

 定款を作成する際のフローは以下のようになります。

  • 1

    定款を作成する
    発起人全員で行います
  • 2

    署名押印する
    これも発起人全員で行います
  • 3

    印鑑証明書を準備する
    発起人全員の個人の印鑑証明書を用意します
  • 4

    定款の認証を受ける
    公証人に、その定款が正当な手続により作成されたことを証明してもらいます。
  • 5

    登記申請時に添付する
    法務局への登記申請をする際に定款の謄本を添付します。
  • 6

    会社で保管
    定款の原本は会社で大切に保管します

3.定款の記載内容

 定款の内容は、商号、目的、発起人の住所・氏名など必ず記載しなければならない絶対的記載事項の他に、定めないと効力が生じない相対的記載事項、任意の内容である任意的記載事項の3つに分けることができます。


1.絶対的記載事項

 会社法の規定により、定款に必ず記載しなければなりません。記載のない定款は無効となります。

  1. 商号
  2. 目的
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  5. 発起人の氏名または名称及び住所
  6. 発行可能株式総数

2.相対的記載事項

 定款に記載しなくても定款自体の効力に影響はありませんが、記載がないと、その定めの効力が生じない事項のことです。

 会社法の規定により「定款の定めがないと効力を生じない事項」の規定があるものも記載します。

  1. 現物出資(金銭以外の財産の出資)がある場合にはその内容
  2. 財産引受(会社成立後に財産を譲受することを予め約束すること)がある場合にはその内容
  3. 発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容
  4. 株式会社の負担する設立に関する費用
    (定款認証の手数料など株式会社に損害を与えるおそれがないと認められる費用を除く)
  5. 株式譲渡制限に関する規定 など

3.任意的記載事項

 定款には、法律の規定に反しない内容であれば会社が任意に決めた事項を記載することができます(任意的記載事項)。

 ただし、会社設立後に定款に定めた事項を変更するには、株主総会の決議が必要になるので注意しなければなりません。

  1. 事業年度に関する定め
  2. 株主総会の議長の定め など

4.機関設計

 株式会社の機関設計にはたくさんのパターンが考えられ、それぞれメリット・デメリットがあるので、自分が設立する会社に最も適したものを選択する必要があります。

 機関設計のルールの大原則は、株主総会と取締役を設置することです。

 監査役や取締役会、代表取締役はなくてもかまはなくてもかまいません。そのため、最もシンプルな機関設計にすれば役員の数は取締役の1名だけとなります。

株主総会 利益を独り占めにできますが、損失がでたり、事業に失敗すれば、個人財産を処分してでも負担しなければなりません。
取締役会 会社の業務執行を決定する機関であり、取締役により構成されます。取締役会を設置すると監査役か会計参与を設置しなければなりません。
取締役 会社の業務執行を担当する者で、取締役会の構成員として業務執行の決定に参画する役員です。
監査役 会社の業務執行を監督する者です。
会計参与 取締役や執行役と共同して計算書類や附属明細書を作成する機関です。 税理士や公認会計士がこれに就任します。

取締役会非設置会社
メリット
・シンプルなため、役員適任者の選任に悩む必要がありません
・外部株主のいない中小零細企業には最適です

デメリット
・取引相手に中小零細企業として軽く扱われる可能性があります。
・原則として、重要な決定事項について株主総会を開催して決定しなければならないため、機動性に欠けます
取締役会設置会社

メリット
・取締役会非設置型会社より格上と見られる可能性。
・外部株主のいる中小企業では機動的な意思決定ができる。

デメリット
・監査役に過重な責任があるため、役員の候補探しが大変。
・取締役会非設置会社に比べ、コストがかかります。特に税理士に会計参与就任を依頼する場合では、税理士に過重な責任がかかるので単なる顧問報酬に比べて報酬がかなり高くなる。

5.定款のサンプル

 以下は定款のサンプルです。

 定款作成の際には必ずご自身の会社に適した定款内容を検討して作成してください。

第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、○○株式会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は次の事業を営むことを目的とする。
1.▲▲の製造販売
2.▲▲の売買
3.前各号に付帯する一切の業務
(本店所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都○○区に置く。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告、官報に掲載する方法により行う。

第2章 株 式
(発行する株式の総数)
第5条 当会社の発行する株式の総数は、○○○株とする。
(株券の不発行)
第6条 当会社の株式については、株券を発行しない。
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式の譲渡又は取得については、株主又は取得者は株主総会の承認を受けなくてはならない。
(基準日)
第8条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
2 前項にかかわらず、必要ある場合は、あらかじめ公告して、一定の日の最終の株主名簿に記載された株主又は登録株式質権者をもって、その権利を行使することができる株主又は登録質権者とすることができる。

第3章 株主総会
(招集)
第9条 定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に招集し、臨時株主総会は、必要に応じて招集する。
(議長)
第10条 株主総会の議長は、取締役社長が行う。
(決議の方法)
第11条 株主総会の決議は法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
2 会社法第309条第2項の定めによる決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う。
(議事録)
第12条 株主総会の決議については、法令に定める事項を記載した議事録を作成し、10年間当会社の本店に備えおくものとする。

第4章 取締役
(取締役の員数)
第13条 当会社の取締役は○人以内とする。
(取締役の選任)
第14条 当会社の取締役は、株主総会において総株主の議決権の3分の1以上に当たる株式を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については、累積投票によらない。
(取締役の任期)
第15条 取締役の任期は、選任後2年以内に修了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
(社長及び代表取締役)
第16条 当会社に取締役が2人以上あるときは、取締役の互選により代表取締役を1人以上定めることとする。
2 当会社を代表する取締役は、社長とする。
(報酬等)
第17条 取締役の報酬等は、株主総会の決議によって定める。

第5章 計算
(事業年度)
第18条 当会社の事業年度は、毎年○月○日から○月○日までとする。
(剰余金の配当)
第19条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在における株主名簿に記載された株主又は登録株式質権者に対して支払う。
2 剰余金の配当がその支払提供の日から満3年を経過しても受領されないときは、当会社はその支払義務を免れる。

第6章 付則
(設立に際して出資される財産及びその最低額)
第20条 当会社の設立に際して出資される財産の全額を資本金とし、その最低額は金○○○○○円、1株の払込金額は金○○○円とする。
(最初の事業年度)
第21条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から、○年○月○日までとする。
(設立時取締役)
第22条 当会社の設立時取締役はつぎのとおりとする。
取締役 ○○○○
(発起人の氏名、住所及び設立に際して割り当てを受ける株数並びにその払込金額)
第23条 発起人の氏名、住所及び設立に際して割り当てを受ける株数並びにその払込金額は、次のとおりである。
東京都○○区○○丁目2番3号
発起人 ○○○○
普通株式 ○○○株 金×××円

以上、OO株式会社 設立のため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。

平成○年○月○日

発起人 ○○○○ 印

6.定款の認証

1.公証人とは

 公証人は、国の公証事務を行う法務大臣が任命する公務員で、国から給与や補助金などを受けず、国が政令で定めた手数料収入によって事務を運営する事業者です。

 公証人は、遺言書などの各種公正証書の作成、会社定款や私署証書の認証事務を行います。


2.定款の認証

 定款の認証は、通常は、株式会社の本店所在地の都道府県内に公証人役場を設置している公証人が取り扱います。

 たとえば。「東京都千代田区内に本店を置く」とする会社は、東京都内の公証人の認証を受けなければなりません。

 万一、誤って管轄違いの公証人役場で認証を受けてしまった場合は、正しい管轄の公証人役場で再度認証をしなおしてもらう必要があります。

 また、定款認証後、設立登記前に本店の所在地を他府県に変更したい場合も、改めて変更後の本店がある公証人役場で、再度定款認証をしてもらうことになりますので注意してください。

定款認証に必要なもの

ア)定款3通
イ)発起人の印鑑証明書
ウ)委任状(欠席する発起人がいれば)
エ)収入印紙 40,000円
オ)公証人の手数料 51,000円前後
カ)発起人の実印


3.電子定款

 定款は、通常は紙に印字して作成しますが、PDFデータで認証してもらうこともできます。これを電子定款といい、最大の特徴は定款認証時に必要となる収入印紙40,000円が節約できる点です。

 ただし、電子定款で認証を行うためには、法務省オンラインシステムの利用準備、専用ソフトの購入、電子証明書の取得など、かなりの時間・労力・コストが必要となります。

 自分の会社を設立するだけであれば、紙で印刷して認証してもらうか、既に電子定款システムを導入している専門事務所に依頼した方が割安です。

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